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なぜ「バ美肉おじさん」に心が引きつけられるのか

バーチャル美少女セルフ受肉おじさん。通称:バ美肉おじさん。バーチャルYoutuberとして活動する彼らは一人のクリエイターとして自らの手で美少女を作り出し、おじさん自身の肉体と同化させ、さらにはボイスチェンジャーを用いて声帯までも女性化させています。完成度は非常に高く、初めて見た人には美少女の2Dモデルと女性の声がセットになっているとしか思えないでしょう。
そんなバ美肉おじさんの動画を何度も見て思ったのは、「なぜ女性の演じるバーチャルYoutuberよりも中身がおじさんのバーチャルYoutuberに惹かれてしまうのか」ということでした。これには多分に私個人の感想が混じっています。誰もがそのように感じるというわけではありませんが、そう感じる人も一定数いるはずです。
そんな「バ美肉おじさん」に強く心が引きつけられる理由はなんだろう?そういった私自身の疑問に対する結論について書いていきます。

おじさんが演出する「かわいい」

パッと見たときにカワイイと感じるモデル、そしてカワイイと感じる動き、カワイイと感じる声、喜び方、怒り方、泣き方、喘ぎ方。それぞれを演出・プロデュースしているのは「おじさん」もとい男性です。おじさんがカワイイと思って作ったものや表現したものは、多くのリスナーを虜にしています。ある男性の描いた理想は他の男性の理想にもなり得るでしょう。扇情的な衣装をまとった美少女には目を奪われ、ウサギ耳の幼い美少女には保護したいという欲求が自然と生まれます。それらをハイレベルな形として具現化しているのは「おじさん」です。喜怒哀楽の表現の仕方もある程度おじさんの中で練られブラッシュアップされたものでしょう。つまり、大多数のリスナーである男性と同じ性別のおじさんが考案しプロデュースした美少女には多くのリスナーの心を掴むカワイイが詰め込まれているのです。これは現実(リアル)でも一緒で、アイドルグループである「モーニング娘。」や「AKB48」のプロデューサーも男性です。やはりファンである男性の気持ちやツボをよく理解し戦略を練っているからこそあれほど人気を博したのだと思っています。

そもそも「かわいい」とは

「自分の顔が好きですか?-『顔』の心理学」(岩波ジュニア新書)ではこう書かれています。

「かわいい」を付けると、否定的だった「ぶさいく」や「きもい」の印象が変わります。どちからというと、肯定的な印象になります。しかも、和みというか、力が抜けたというか、より身近に感じられるような気もします。かわいいは、和みの魔法の言葉なのかもしれません。遠い存在だった先生を「かわいい」と言うことによって、身近にすることができるのでしょう。なんとなく保護する立場に立った気分にさせられ、改めてその人の良さを感じ取ることができるかもしれません。言われた側も、相手をより身近に感じることができるでしょう。

 また日本には平安時代から「かわいい」に近い「はかなきものを慈しむ」という心情や、未成熟を慈しむ文化があったといいます。
さらに、ベビースキーマというデザイン(法則)が存在します。これは対象を見た人に対し「かわいい」「愛おしい」「守りたい」という感情を抱かせるものです。「ベビースキーマ」でググると詳しい解説をされているサイトが出てくるのでここでの細かい解説は省きますが大きな目や短い手足、小さな下顎など「幼児の特徴」を捉えているのがポイントです。これは見た目だけでなく「しぐさ」にも同様のことが言えると思うのです。バ美肉おじさんの「咳」「控えめなくしゃみ」を聴いたことがある人はわかると思いますがとても魅力的に感じます。もっと言えばかわいい。このような咳や控えめなくしゃみを聴いて歓喜する「おせき民」や「くしゃ民」といった人たちが存在するように「幼児的なしぐさ」は観ている側に対し「かわいい」「守りたい」という感情を抱かせるのではないかと考えています。

おじさんとの共感

現在のバーチャルYoutuberのリスナーの多くは男性です。そんな中で繰り広げるトークは非常に魅力的です。最先端テクノロジーやハード(機材)に関する話であったり、今までにプレイしたゲームの話や過去に夢中になった漫画やアニメなど話題は多岐に渡ります。トークの内容でなにか感じませんか?これら全てはリスナーのほとんどを占めているオタク的男性が夢中になった(夢中である)話題でもあるんです。おじさんが大好きなものを語り、それに対してリスナーもコメントし、そのコメントにおじさんが反応する。盛り上がらないわけがないんです。さらに、共感を得られる対象が二次元の美少女の姿で声まで女性そっくりならなんとも言えない嬉しさがグッと湧いてくるものです。

最後に

バ美肉おじさんに対して抱いていた「なぜ心が引きつけられるのか」という疑問ですが、自分の中では以下の結論に至りました。
・おじさんの演出にはリスナーの心を掴む「かわいい」がたくさん詰め込まれていること

・「かわいい」はベビースキーマなどのデザインや幼児的なしぐさからも感じてしまうということ
・そしてトークの話題でおじさんに強く共感してしまうこと。
このような要素から私はどっぷりとバ美肉おじさんにハマってしまったということがわかりました。みなさんはどうですか?どういう部分に惹かれましたか?もし私の結論とは違ったり、「こうじゃないの?」といったご意見がありましたらTwitterでお待ちしています。お気軽にどうぞ。